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学術研究に関してのteamwork機能活用事例

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宮崎敦史さんは慶應義塾大学大学院(SFC)在籍時に修士論文の為の実験ツールとしてArchiCADのTeamwork機能を採用した。宮崎さんが行った実験を紹介します。

目的

本研究は、 実験を通して共同設計における言語コミュニケーションの役割を明らかにする事である。 特に 「言葉」「形」によるコミュニケーション形式が持つ特性を明らかにする事を主目的としている。

 ・「言葉」を介したコミュニケーション
「言葉」とは普段私達が会話したり、文通をしたりする時に使用するものを指す。
本実験ではSKYPEを使用してコミュニケーションがとれる環境を整える。

 ・「形」を介したコミュニケーション
「形」とは模型やCG、図面やスケッチなどを指す。
今回はArchiCADを使用してコミュニケーションがとれる環境を整える。

実験概要

実験は3回行った。分析データとして使用する為には、被験者に自然なコミュニケーションをとってもらう事が望ましい。 つまり、被験者にコミュニケーションの実験だと知られずに参加してもらわなければならない。
そこで今回はワークショップ形式を使用した。 今回行ったワークショップは「Teamwork Experience 1(TWE1)」「Teamwork Experience 2(TWE2)」「 Experiment for Double World(EDW)」という名前で、全てArchiCADを使用し、遠隔操作により仮想空間上で複数人が一斉に 設計を行い、全員で一軒の住宅を設計するという目的で開催した。 参加者にはコミュニケーションの研究 である事を一切伝えずに行った。また、参加者はお互いの事をほとんど知らない方が良いと考えたので全国 の大学(約20校)から各1〜2名として募集し、7〜8名が参加した。以下ワークショップの内容を示す。

実験1(Teamwork Experience 1)

  1. 実施方法

    Type of Communication : ArchiCAD + Skype

    Participants : 8 people
    Exercise : The home living with elderly people

  2. Workflow


    開催日時 : 2010/08/12
    設計時間 : 約4時間(2時間作業→20分休憩→2時間作業)
  3. 完成作品

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    Teamwork Experience 1 as built
  4. 完成図面

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    Teamwork Experience 1 as built
コンセプト (終了後のアンケートより)
  • この住宅は、お爺ちゃんの気配を感じるような工夫がされている。一階はお爺ちゃんの部屋と家族の共有スペースによって構成されている。二階は夫婦の寝室と子供部屋の個室である。お爺ちゃんのスペースは完全な個室とするのではなく、リビングから階層的に空間を作り、一階の家族の共有スペースと緩やかに繋がるように構成されている。また、一階の中心には土間が通っており、表の道と裏の公園を繋ぐようになっている。これはお爺ちゃんが家の外へアクセスしやすいようにするためでもある。
  • 正直、ボヤボヤしてて断定できない。けど、おじいちゃんありきで決定していったとは思う。
  • おじいちゃんがなるべく自由に住宅内を動き回り、家族と触れ合える家。おじいちゃんが引きこもらないようになる家。車の入口から北西の庭まで土間が連続し、動線も視線も抜けていく。
  • 父を中心とした住宅。家族のための空間に、常に祖父が接続できるようにすること。また、裏の公園と、隣の空地を積極的に設計の中の条件として捉え、外部とのつながりをつくることです。世代が変わった時にも対応できるようなプランも意識しました。
  • おじいちゃんがいかに家族との距離感を適度にとり、かついかに周辺環境に対して各居室をポジティブな空間へするかという事。その方法として、庭や視線の展開を用いる事で良質な居住空間が出来るのではないか。
  • 老人のライフスタイルを中心とした都市の住まいのあり方を考える。多数作られた小さな庭状の空間は、それぞれ固有の個性を与えられ、四方の周辺環境と接続された質の異なる場所を住宅内部に作り出す。老人が都市へ家族へと接続した、ポジティブな生活像を浮かび上がらせる住宅。
  • 1階に家族内でのパブリックスペースと老人の生活スペースを介在させたうえで中庭兼土間の空間がいかに近すぎず、離れすぎず老人との良好な関係を築くために有用なものであるか。
  • おじいちゃんや家族の生活がさまざまな庭を介して見え隠れすることによって、気配のつながりをつくっていく住宅。 リビングから家族全員の個室につながる形。さらにはおじいちゃんの作業場の延長にリビングがあることから、リビングが家族とおじいちゃんの生活を程よく分け、そしてつなげる、緩衝空間となっている。

実験2(Teamwork Experience 2)

  1. 実施方法

    Type of Communication : ArchiCAD (No use text tool)

    Participants : 8 people (same as TWE1)
    Exercise : The home living with foreign student

  2. Workflow


    開催日時 : 2010/08/13
    設計時間 : 約4時間(2時間作業→20分休憩→2時間作業)
  3. 完成作品

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    Teamwork Experience 2 as built
  4. 完成図面

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    Teamwork Experience 2 as built
コンセプト (終了後のアンケートより)
  • 四枚の境界線をフィルターとして各人たちの関係を築くこと
  • 壁を東西軸に連立させ、その壁の間の互いの生活領域を外部、反外部空間などによって文節しているのではないでしょうか。
  • 5枚の壁により細長く分節された空間には、テラスや庭、吹き向けを持った部屋などが作られ、それらの空間のレイヤーが隣合わせに並列される。全く違う空間が隣にある、家の中全体が縁側のような住宅。異なる文化の並存を目指した。
  • この住宅は5つの大きな壁から成立しています。大きな壁に直行する小さな壁の位置は空間の機能によって決定され、そのリズムがファサードに独特に奥行きを与えています。それらの壁は住宅を強く分節しているため、住民ごとに異なる縦動線が用意されています。そのため住民同士はご近所さんのような関係になります。介護士を目指す外国人留学生のプライベートな空間を守りながら、ホストファミリーともふれあえるような家になりました。
  • 留学生と家族は別々の暮らしをする。1つの敷地でもお互い干渉しあわず距離を置きながら生活することができる。しかし、近くに住んでいることで生まれるコミュニケーションもある。そうした、お互いの時間がかみ合ったときに偶然生まれるコミュニケーションの場として様々な緩衝領域を用意した。他者と1つの敷地で暮らす1つの提案である。
  • 家族と留学生が適度な距離感を保ち各々の場所を確保しつつも、中心に集れる場所を持つ住宅を目指しました。水平、垂直双方に連続性を持たせ、外部までつながっていくよう計画しました。
  • 留学生と家族の住み方、機能の分配を5枚の壁を用いて分けつつ繋げることでここちよくみんなが生活できる住宅を目指した。
  • 壁が重要なエレメントとなる住宅である。壁を道路側に垂直に立てることによって、異なる質を持つ空間を四つ作った。留学生と家族が適切な距離でくらせるように壁は機能している。また、壁があることによって、敷地と道路との関係は様々に作られ、奥性が生まれたり、庭が生まれたり、駐車場になったりと壁がこの住宅の複雑性を演出している。

実験3(Experiment for Double World)

  1. 実施方法

    Type of Communication : ArchiCAD + Skype or ArchiCAD (No use text tool)

    Participants : 7 people
    (including 5 people who participated TWE)
    Exercise : The house contains a little day-care

  2. Workflow


    開催日時 : 2010/12/26
    設計時間 : 約4時間(2時間作業→20分休憩→2時間作業)
  3. 完成作品

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    Experiment for Double World as built
  4. 完成図面

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    Experiment for Double World as built
コンセプト (終了後のアンケートより)
  • この住宅はマスのシリンダーとヴォイドのシリンダーで構成されていて、三層の住宅の中を自由に貫くことによって多様な内部空間と外部空間を作り出している。1Fが保育室にも使えるユニバーサルスペース、2Fが両親の部屋、3Fが子供の部屋となり、それぞれの機能に対して適切なヴォリュームが割り当てられている。
  • 矩形の壁の内部に様々な空間を内包したシリンダーが点在している。一つ一つに特徴を与えられたシリンダーは住宅内部に多様な空間を作り出す。また、一階の壁の下にスリットが開けられることで、遊び回る子供にとっては外部まで大きく開かれた空間を体感でき、また大人にとっては、それらのコアで緩やかに仕切られた空間が作られている。成長の度合いに応じ、異なる風景を映し出す住宅である。
  • 幼児のための回遊性ある空間をシリンダーを建てることで生み出し、その活発な様子を住宅内部、また外部にも見せる。
  • 保育施設を使う子どもと生活をする家族とが同じ空間をいかに共有するかという事を実現する為に、家の中にシリンダー(円筒形の空間)を挿入し、閉じた居室と残余部分である曖昧な空間とに分け家全体を構成した。またそれは、一層目の保育施設と家族の生活空間だけでなく、2階や3階部分の家族の居室空間においても同じであり、様々な空間が点在した家を目指した

Skypeなしチーム

  • 円で切り抜かれた層が積み重なっている。そこにガラスの筒が貫通して、この家に中心性を持たせている。円の中には外部や階段、水回りを収め、円の外に各個人のスペースや保育室、リビングダイニング、キッチンなどを配置し、流動的な使い方ができるようになっている。上下階の円の重なりのずれから生まれる、空間の多様性 を活かした家。
  • 都市の中で、1階部分にパブリックなスペースと動線を設けた住宅です。 保育施設兼住宅のプログラムを円形の仕切りで緩やかに区分している住宅だと思います。
  • 円形を利用することによって部屋同士を明確に区切るのではなく緩やかに繋ぐとともに、住宅の中に流動性と円という図形がもつ一体感を持ち込むことによって、住宅と保育所という二つの機能を共存させる。緩やかに繋がれた場はそれぞれの場が独立して機能することもあれば、ときには一体となって使われる。このような場の使われ方が伸び縮みするような住宅は新たな生活の仕方を受け入れるうつわとなる。

修士論文概要

共同設計時における初期建築設計プロセスに関する研究
-言語コミュニケーションのダイナミクスに着目した遠隔操作を用いての住宅設計の実験を通して-

本研究は共同設計をコミュニケーションの動きから捉える事により、共同設計プロセスと言語コミュニケーションの関係を考察したものである。
 現在、情報技術の発達とグローバル化により、共同設計手法が従来と変化しつつある。様々なものが同時編集可能になっていく状況で、コミュニケーションの重要性が増してきている。コミュニケーションから共同設計を捉え直すことは時代に即した設計手法を提示する事を可能にする。
 本論では普段私達が会話する時に使用する「言葉」と建築を設計する時に使用する「形」の、二つのコミュニケーションを用いた実験を行った。実験は三回行い、それぞれ違うコミュニケーションの形式を取り入れた(一回目は「言葉+形」、二回目は「形」、三回目は「言葉+形」+「形」)。複数人で1軒の住宅を設計している時のプロセスを記録し、コミュニケーションの発生と反応という2つの動きから分析をした。
 実験結果から、共同設計は反応されたコミュニケーションに依存している事が明らかになった。またコミュニケーション形式、そしてその組み合わせによって設計プロセスに違いが見られ、最終形態にも影響を与える事が分かった。またこの結果から、「形」を用いたコミュニケーションをしている状況は多くの問題に対して参加者が個別に検証出来る状態であり、「言葉」を用いたコミュニケーションをしている状況は、一つの問題に対して、参加者全員が多数の視点から「形」の検証をしている状態であることが分かった。
 この研究の結果から、新たな共同設計手法の提案、プロジェクトマネジメントの提案、被災地支援の為の設計システム支援構築、新たな発想法の開発に繋げる事が出来る。また「複数人集まって一つのものを作る」という分野であれば様々な所で応用可能である。

経歴

宮崎敦史
1985年生まれ
2011年慶應義塾大学院(SFC)政策・メディア研究科博士前期課程修了
質問等に関する連絡先:a.miyazaki305@gmail.com

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